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化け物の文化誌展
−化け物に注がれた科学の目−
科学の始まりは未知のものを集め分類することです。
江戸時代には化け物はまだ実在する生き物としてその対象になっていました。
信仰の中にいた化け物たち
「清六天狗の下駄」や「天狗のミイラ」などの天狗にまつわる遺物を展示します。
自然の中で生まれた化け物たち
「人魚のミイラ」や「人魚の肉」を展示します。曹源寺の「河童の手」は寺外では初めての公開です。

「河童の手」曹源寺所蔵
江戸が見ていた化け物
江戸時代には『妖怪絵巻』など化け物を題材とした物語や錦絵が多数創作されました。

『妖怪絵巻』東洋大学所蔵
化け物の伝来
江戸時代の化け物の分類や比較の根拠となったのは『本草綱目』や『山海経』など中国の書物でした。また、西洋から入ってくる書物にも、まだ知られていない世界の化け物が記載されていました。

Les oeuvres d'Ambroise Par,
Paris:Chez Nicolas Buon,1628
九州大学所蔵
興味を持つ心・物を見る目 ―顕微鏡から生まれた化け物
科学の基本は興味を持つことです。江戸時代、顕微鏡で覗いた蚊を本草学者は本草書に記録しましたが、当時の社会にとってそれはまさに化け物でした。
分類された日本の化け物
当時の知識人たちは化け物も分類の対象としました。本来「気配」であったものに、東西の知識をベースに姿・形を与えたのは彼らだったのです。

『異形魚図』国立科学博物館所蔵
知識を集積した殿様たち
江戸時代に知識を集積した人たちの中には殿様もいました。たとえば平戸藩主松浦静山の『甲子夜話』には、伝聞も含めた種々な化け物が記されています。彼らは当時未知のものを集め、分類しようとしていたのです。

『水虎の図』盛岡市中央公民館所蔵

化け物の進化
化け物は「近代科学」によって迷信や伝承の範疇とされます。それは近代日本が西洋に追いつくためには必要な過程でした。しかしこれからの時代に求められるのは、日本人が本来持っている自然認識から生まれる科学なのではないでしょうか。
興味を持つ心・物を見る目―寺田寅彦
『寺田寅彦全集』など
顕微鏡から科学へ―中谷宇吉郎
顕微鏡、「雪」など
近代で分類された化け物たち
宗教学者―井上円了
『妖怪学』講義ノート、幽霊木像など
民俗学者―柳田國男
『遠野物語』(初版本)、佐々木喜善宛書簡など
科学者―南方熊楠・白井光太郎・上野益三
『南方熊楠全集』、『植物妖異考』、『日本博物学史』など
不思議な生物―知られざる生態(科博コレクション)
世の中にはまだまだ知られざる生態を持った生物が多数生息しています。ダイオウイカ・リュウグウノツカイ・二口魚などは、まさに現在の「化け物」と呼べるのではないでしょうか。寺田寅彦は、「科学の目的は実に化け物を捜し出す事なのである」と述べました。科学は、実は今も化け物を追いかけているのです。
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