シンポジウム趣旨

これからの社会が目指すべき「知の循環型社会」の実現に向けて、国立科学博物館では博物館がどのように関与できるのか問い続けてきた。

博物館活動の担い手として、従来は学芸員等博物館に雇用されている職員がその中核的位置を占めてきた。しかしすでにもう博物館はソリッドな組織であってはならない。博物館は多様な人々が参画するネットワーク体であり、多様なコミュニケーションに基づいた知の創造がそこで行われることにより、博物館活動の一層の成長が進む。博物館の様々なステークホルダーによる多様なコミュニケーションを促進し、さらに新たな活動へと反映させる次世代の博物館のあり方として、「ともに成長する博物館」を提唱する所以である。

本シンポジウムでは、1日目(9月9日)には、博物館を「契機」として行われるさまざまなコミュニケーションと、それを促進させる展示と学習支援活動について、近年の具体的な事例をもとに検証する。2日目(9月10日)には、「利用者、学芸員、博物館マネージメント層のミュージアムリテラシーの実態を知り、育て、活用し、社会に変革をもたらす」システムの試行の結果や海外の事例を報告し、多方面から議論を重ねる。

詳細

本シンポジウムは終了いたしました。多数のご参加ありがとうございました。

開催日時 平成28年9月9日(金)  13時00分~18時00分
※終了後、参加者は事例報告で取り上げる展示を特別にご覧いただけます(1時間程度)
平成28年9月10日(土) 10時00分~17時00分
会場 国立科学博物館 日本館2階 講堂
〒110-8718 東京都台東区上野公園7-20
アクセス方法
対象者 どなたでもご参加いただけます
参加費 無料 ※ただし、別途入館料が必要です。
(一般・大学生:620円、高校生以下・65歳以上:無料)
お問合せ 国際シンポジウム事務局
〒110-8718 東京都台東区上野公園7-20
国立科学博物館 博物館等連携推進センター博物館連携室
TEL: 03-3822-0111(代表) FAX: 03-5814-9898
Email:musesymp@kahaku.go.jp

プログラム

コミュニケーションを促す博物館活動(平成28年9月9日(金))日本語・英語(同時通訳あり)
Promoting collaborative communications in and around museums

タイムテーブル 内容
13:00-13:10 開会挨拶および趣旨説明
13:10-13:50 基調講演
博物館が持つコミュニケーションの力 David Anderson(The University of British Columbia)
14:00-15:05 事例報告Ⅰ
国立科学博物館の常設展示リニューアルの概要 倉持利明(国立科学博物館)
来館者とともに成長するボランティア-かはくのモノ語りワゴン 原田光一郎(国立科学博物館)
親子の対話を通じた学習機会の創出―親と子のたんけんひろばコンパス 神島智美(国立科学博物館)
15:05-15:15 休憩
15:15-16:15 事例報告Ⅱ
利用者の観点に立った展示改装 松岡敬二(豊橋市自然史博物館)
思考を拓くミュージアム―ふじのくに地球環境史ミュージアムの試み 渋川浩一(ふじのくに地球環境史ミュージアム)
16:15-16:45 話題提供
地域の「学びの場」としての公害資料館:四日市公害と環境未来館の誕生 神長唯(四日市大学)
16:45-17:00 休憩
17:00-18:00 パネルディスカッション
「知の循環型社会におけるこれからの展示・学習支援活動」司会 池本誠也(国立科学博物館)
パネラー:基調講演者、事例報告者、話題提供者
18:00-19:00 解散の後、事例報告で取り上げた展示を自由に見学いただけます

利用者とともにつくる共有価値(平成28年9月10日(土))日本語・英語(同時通訳あり)
Shared value created through museums and their audiences

タイムテーブル 内容
10:00-10:20 開会挨拶及び趣旨説明
10:20-11:40 基調講演ⅠおよびⅡ(各40分)
インフォーマルラーニングにおける博物館の役割 Jeffrey Rudolph(カリフォルニアサイエンスセンター)
ヨーロッパの博物館生涯学習システムについて-OSRの取り組み Hannu Salmi(ヘルシンキ大学)
11:40-12:50 昼食・休憩
12:50-13:10 報告Ⅰ
対話型学習プログラムデータベース(PCALi)システムについて
本間浩一(慶應義塾大学SDM研究所)
13:10-13:30 報告Ⅱ
PCALiの成果と課題
高安礼士(千葉市科学館)
13:30-14:00 話題提供
インドネシアの博物館教育事情について
Nia Dianti(タマンピンターサイエンスセンター)
14:00-14:40 事例報告
北海道、東北、関東、関西、九州、インドネシア、各地区での実践事例ポスター発表
14:40-15:00 休憩
15:00-16:40 パネルディスカッション
「知の循環型社会におけるミュージアムリテラシーを考える」
司会:三島美佐子(九州大学総合研究博物館)
パネラー: Jeffrey Rudolph、Hannu Salmi、Nia Dianti、坂東元(旭山動物園)、北村美香(琵琶湖博物館)、
佐久間裕司(PCALi利用者)、奥山英登(旭川市)、小川義和(国立科学博物館)
16:40-17:00 総括
小川義和
※発表者・内容は現段階のものですので、今後変更になる可能性があります。
※9月10日実施の「利用者とともにつくる共有価値」は平成28年度JSPS科学研究費基盤研究(S)課題番号24220013「知の循環型社会における対話型博物館生涯学習システムの構築に関する基礎的研究」の成果によるものです。