芸術家の目が切り取った風景に、自然科学の研究者は何を見るのだろうか。
本展では、写真家・上田義彦が撮影した写真を、国立科学博物館の研究者が解説し、対象物とともに展示する。
解説の多くは風景の背後にある時間の流れを意識したもので、瞬間を切り取った写真に
重層的な意味を付け加えている。風景に地球の歴史を感じることは、私たちの認識をより深いものにするはずで、
そこに「芸術と科学の融合」の目指す地平がある。
―国立科学博物館 篠田 謙一
自由な芸術と、事実の科学。芸術と科学はまったく違うベクトルのように思える。
いつの間にか、そんな概念が我々に刷り込まれてはいないだろうか。しかし人は、意識と感覚を分けて
生きているわけではない。見るという意識の直後に、好き嫌い、気持ちいい気持ち悪い
という感覚が沸き起こる。その後に初めて、その感覚がどこから来ているのかを知りたいと思う。
「何だこれは?」という感覚的な興味が、「もっと知りたい」と事実を欲求するのである。
写真という芸術を入口に、科学の世界に誘う展示を、さてあなたはどう見るだろうか。
―グラフィックデザイナー 佐藤 卓
2019年
9月10日(火)~12月1日(日)
国立科学博物館 日本館1階企画展示室
〒110-8718 東京都台東区上野公園7-20
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定価:7,200円+税
発行:株式会社美術出版社