国立科学博物館は、2016年度から5年間、分野横断型の総合研究「化学層序と年代測定に基づく地球史・生命史の解析」を実施しました。この研究では、主に3台の質量分析装置を用いて、岩石や堆積物に含まれる酸素、炭素、ストロンチウムなどの同位体比を分析し、地層の年代や堆積時の環境を明らかにするとともに、曖昧だった化石種の出現や絶滅のタイミングを詳細に決定することができました。本展では、これら研究成果の一端をご紹介します。
開催概要
企画展名称 | 企画展「解き明かされる地球と生命の歴史 -化学層序と年代測定-」 |
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開催期間 | 2022(令和4)年9月27日(火)~12月4日(日) |
開催場所 | 国立科学博物館(東京・上野公園) 地球館1階 オープンスペース |
開館時間 | 9:00~17:00 ※入館は閉館時刻の30分前まで |
休館日 | 月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日) ※ただし10月3日(月)は開館。 |
入館料 | 一般・大学生630円(団体510円)(税込) ※常設展示入館料のみでご覧いただけます。 ※団体は20名以上。 ※高校生以下および65歳以上は無料。 |
主催 | 国立科学博物館 |
協力 | 九州大学総合研究博物館、筑波大学、三笠市立博物館、むかわ町穂別博物館 |
アクセス
独立行政法人国立科学博物館 | |
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所在地 | 東京都台東区上野公園 7-20 地図アプリで見る |
お問合せ | 050-5541-8600(ハローダイヤル) |
JR「上野駅」公園口から徒歩5分 京成線「京成上野駅」正面口から徒歩10分 東京メトロ銀座線、日比谷線「上野駅」7番出口から徒歩10分 ※館内に駐車場および駐輪場はございません |
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展示紹介
ストロンチウム・ネオジム同位体比を分析する表面電離型質量分析装置、鉛同位体比を分析する誘導結合プラズマ質量分析装置、酸素・炭素同位体比を分析する安定同位体比質量分析装置について紹介します。
表面電離型質量分析装置
アメリカ合衆国においてK-Pg境界層を調査し、恐竜絶滅の原因とされている巨大隕石の衝突を確認しました。また、絶滅のもう一つの原因とされているインド、デカン高原の火山噴火も紹介します。
アメリカ合衆国ノースダコタ州のK-Pg境界層を含む地層
凝灰岩に含まれるジルコンの年代測定を行い、国内から産出する後期白亜紀の様々なアンモナイトの産出年代を決定しました。また、明らかになったアンモナイトの時空分布の変遷を紹介します。
アンモナイトの化石(ディディモセラス)
沖縄県から産出した髭鯨類化石の生息年代を、板鰓類の歯化石のストロンチウム同位体比分析により明らかにしました。また、絶滅生物であるパレオパラドキシアやピクノドンの化石発見の成果も紹介します。
髭鯨類:シマジリクジラの頭骨化石(上:背側面、下:腹側面)と板鰓類:ホホジロザメの歯化石(中)
国内に存在する古第三紀-新第三紀の地層について年代測定を行い、植物・珪藻化石の解析を組み合わせてモンスーンの開始と強化の歴史に関して分かったことを紹介します。
植物化石の解析結果
第四紀の堆積物や、そこに含まれる有孔虫など微化石を対象とした近年の古海洋学的研究により、次第に明らかになりつつある短期的な環境変動をはじめ、黒潮の流路や、寒流と黒潮が接する黒潮前線の挙動などを紹介します。
貝化石(ユキノカサ)
南大東島の村史や自然史には一切記録がない食虫性コウモリの絶滅を知るために、洞窟から産出した小型コウモリの骨と糞状に散在する泥堆積物の研究を行った成果を紹介します。
南大東島の洞窟から産出したユビナガコウモリ類の化石