ナスカ人は、古代エジプト人と同じく、河谷の周囲に広がる乾燥した砂漠地帯で暮らしていたため、水の供給が生存の鍵でした。彼らは東のアンデス山脈から流れる川の恩恵を受け農耕を営んでいましたが、その水量を予想することは難しく、鉄砲水や地震など天災の不安にもさらされていました。
ナスカの社会では、人間とほかの生き物の間には超自然的なつながりがあり、命あるものはみな超自然的な力を持つと考えられていました。そのため、キツネのような生き物は単に畑で見かける動物であるだけでなく、ネズミなど有害小動物を捕食してくれる、作物の良き守護神でもありました。
ここでは、ナスカの人々が人間に強力な力を及ぼすと考えた生き物や、ナスカ人の日常生活を取り巻く動植物が描かれた土器を紹介します。 |
ピーナツの入った容器を持つサル
ペルー文化庁・ペルー国立考古学人類学歴史学博物館
撮影 義井豊 |