渡辺仁治 淡水珪藻標本データベースについて


渡辺仁治氏

浅井氏(右)と

故渡辺仁治氏の標本類については生前の2002年に、スライドと液浸標本(オリジナルマテリアル)の大部分がご本人のご厚意により、国立科学博物館 ・ 植物研究部に寄贈され、没後の2009年9月に残りの資料類がご遺族のご厚意によって寄贈された。

これらの標本類(コレクション)は、共同研究者であった浅井一視・伯耆晶子氏の協力により、 多くの標本について種組成も含んだデータベース化が済んでおり、種に着目した珪藻生態研究を行う上で、第一級の標本・資料である。また、このコレクションは渡辺ら(2005)の証拠標本としての側面も持ち、このモノグラフに掲載されてきた大部分のスライドやマテリアルが検索可能な状態になっている。

渡辺仁治コレクションの多くのスライドは、渡辺仁治氏本人・共同研究者・奈良女子大学の学生らによって種組成が計数され、その結果はスライド情報・環境情報(BOD、水温、電気伝導度など)と共に、浅井一視氏によってデータベース化された。

このデータベースは、NECのPC9- 801のBASICおよび機械語によって作成されたものであり、最近の機械では動かすことが出来なかったため、浅井一視氏の協力により、当館でファイルメーカー社のリレーショナルデータベース(RDB)に移植を行った。 このソフトにより、各スライドの種組成の情報・各珪藻種の出現スライドの検索・各珪藻種の出現パターンを検索することが出来る。

当館が浅井氏からこのDBを継承した後、種組成情報のないスライドやマテリアルについてもDBに新規入力を行い、一体化した管理が出来るようにした。

浅井DBには、故小林弘氏と共同研究者が東京近郊の都市河川で調査したデータも含まれているが、これらの標本については当館の地学研究部の小林弘コレクションに存在するものと考えられる。

データベースの利用について

このDBで用いられている同定については長年の間に分類学の発展に伴い、不適切になったものも散見される。しかしながら、それらについて逐一修正をかけることは種が分割されたものもあり、非現実的であると考えられた。

そのため本DBで用いる学名については、2002年に当館が浅井氏から引き受けた段階で凍結することにした。その後の学名の変更についてはコメントの追加にとどめ、基本的には修正していない。

DBは種名検索と地点検索の2つの画面に別れている。それぞれに種名や地点の一部を入力し、検索ボタンを押すことで検索が可能になっている。表示される採集地点や種名の左側の数字はコードで、コードによって検索することも可能である。

データベースの引用について

本DBの引用については、渡辺仁治・ 浅井一視・大塚泰介・辻彰洋・伯耆晶子. 2005. 淡水珪藻生態図鑑. 内田老鶴圃, 東京.辻彰洋 2009. 国立科学博物館における渡辺仁治コレクション整理の現状について. Diatom 25: 184-185.を用いて下さい。教育・研究目的については、引用を行った上で利用していただいて構いませんが、それ以外での利用については管理者までお問い合わせ下さい。