淡水浮遊性藍藻データベース

Freshwater Planktonic Blue-Green Algae Database

Nodularia spumigena Mert. ex Bornet et Flahault 1886

産 地 東京都三宅島新澪
目 名 ネンジュモ目
解 説 糸状体は単独または不定形の塊をつくって浮遊する。糸状体の形態は多様で、まっすぐか湾曲するか不規則または密に螺旋する。トリコームは円筒形、細胞隔壁部でくびれ、先端まで太さは一様。鞘は明瞭で薄い。細胞は円盤状、幅6.8-12µm、ガス胞がある。異質細胞は円盤状。アキネートは楕円形またはほぼ球形、幅10-12µm、連続することがある。
海、汽水、内陸の塩水湖などに生育する。時に大発生する。毒物質ノデュラリンを産生する。日本国内で大発生したという記録はない。
  日本では土壌の着生種としてNodularia spumigena Mertensが報告されている(秋山1965、中野 1970)。しかしN. spumigenaは細胞にガス胞をもつ浮遊性種なので、着生種として報告された種はN. spumigenaではなく別種と考えられる。
  日本ではこの他のNodularia属の種として、Nodularia harveyana Thuret(広瀬・山岸1977)、N. spumigena var. major (Kütz.) Bornet et Flahault (= N. major (Kütz.) ex Kircher in Engler et Prantl) (米田1937、岡田1939)が報告されている。これらはすべて土壌または樹上に着生するか小さな止水(潴水、池)から報告されたものである。 一方、火山性の塩湖である三宅島新澪から浮遊性の種としてNodularia harveyana Thuret var. sphaerocarpa (Bornet et Flahault) Elenkin (= Nodularia sphaerocarpa Bornet et Flahault)(根来1936)が報告されている。しかしながら、N. harveyanaN. sphaerocarpaはともに着生種である。したがって、三宅島新澪から採取された浮遊性種はN. spumigenaとするのが妥当である。
Nodularia spumigena

(根来1936より Nodularia harveyana var. sphaerocarpa として)