人物紹介
奥野春雄氏は、日本の珪藻研究を立ち上げられた方です。
1936年広島文理科大学生物学科(植物学専攻)を卒業され、兵庫県の中学校教諭・大坂府天王寺師範学校教諭などをへ1950年から京都工芸繊維大学で教鞭をとられました。
業績としては、日本の珪藻土鉱床についての研究と電子顕微鏡を珪藻研究に導入したことがあげられます。
世界的には後者の珪藻の電子顕微鏡観察が有名で、1968年にHelmckeさんと共に出版された写真集は珪藻研究の金字塔といっても過言では無いと思います。
初期の研究は戦争の影響を強く受けたようで、最初の出版予定だった学位論文の原稿は出版社で空襲によって焼失し、広島大学に保管されていた初期のタイプ標本は原爆により破壊されました。
奥野先生の几帳面さは、国立科学博物館・植物研究部に収蔵されているノートや写真記録からうかがい知ることが出来ます。しかし、一方、研究に用いた標本の多くは、行方が分からないままになっています。
標本の状態と管理方法
タイプ標本の多くは、広島の原爆で無くなりました。その他の標本は行方不明です。そのため、オリジナルの標本はほとんどありません。
所蔵標本:マテリアル 160個、種のノート 1,712枚、写真 1,712枚
論文目録 リンク
略 歴
1911年4月1日 | 兵庫県洲本市にて出生。 |
1928年3月 | 兵庫県立洲本中学校卒業。 |
1929年4月 | 広島高等師範学校理科3部入学。 |
1933年3月 | 同卒業。 |
1933年4月 | 広島文理科大学生物学科(植物学)入学。 |
1936年3月 | 同卒業。 |
1936年8月 | 兵庫県立第一神戸中学校教諭。 |
1941年3月 | 大阪府天王寺師範学校教諭。 |
1943年4月 | 大阪第一師範学校教諭。 |
1945年7月 | 京都府立京都1中教諭。 |
1948年4月 | 京都府立洛北高等学校教諭。 |
1948年10月 | 京都府鴨折高等学校教諭。 |
1950年6月 | 理学博士の学位授受。 |
1950年10月 | 京都工芸繊維大学、京都繊維専門学校教諭。 |
1951年3月 | 京都工芸繊椎大学助教授。 |
1973年5月 | 同教授。 |
1974年4月 | 同定年退職。 |
1961年4月 | 相愛大学、相愛女子短期大学講師。 |
1971年4月~1992年3月 | 嵯峨美術短期大学講師。 |
1976年4月~1990年3月 | 松蔭女子学院短期大学講師。 |
1995年2月26日 | 逝去 |
奥野春雄氏によって記載された新種 リンク
奥野春雄氏 珪藻LM写真乾板コレクション リンク
奥野春雄氏による珪藻光学顕微鏡写真乾板コレクションです。珪藻の光学顕微鏡写真としては日本で最も古い時代のものであり、1930年代から1950年代に撮影されています。