エネルギーの流れと物質循環

 光合成により有機物として閉じ込められた太陽からのエネルギーは,植物を食べる草食動物(1次消費者)に渡され,さらに肉食動物(2次消費者)へとバトンされていき,分解者であるバクテリアまで伝えられてゆく.そして,炭素や窒素など生命に必須な物質もこのエネルギーの流れに乗って陸上と海洋の生態系を循環している.ただし,海洋においては生産者の大部分が寿命の短い植物プランクトンであるため,陸上に比べ現存量が少ない.


図パネル:海洋におけるエネルギーの流れ
 海洋植物が太陽から受け取ったエネルギーは食物連鎖によってあらゆる生物へと伝えられていく.物質は最後には分解されて循環するが,エネルギーは生命活動による熱となって消費されて行く.(Lalli and Parsons (1993)「Biological Oceanography: An Introduction」を基に作図:北山太樹)


図パネル:年間の地球規模の炭素循環(1980年代の年平均)
 海洋生物が保持する炭素量は陸上の0.5%に満たない.にもかかわらず,地球表面の7割を占める海洋に広く分布する海の藻類は陸上植物の8割に相当する炭素を固定し,地球全体の炭素循環というひとつのバランスを支えている.人間の活動による二酸化炭素の増加をはじめとして,あらゆる地球環境問題が海洋の生態系と密接に関係していることは忘れるべきではない.(Schimel (1995) "Terrestrial ecosystems and the carbon cycle"を基に作図:北山大樹)


戻る:光をつかまえる
ご質問、またはコメントやご助言は、kitayama@kahaku.go.jpまでメールをいただければ幸いです。
このページは、 2000/09/09 にアップデートされました。
All Right Reserved Kubodera