イカ・タコ類は体の中に墨袋をもっている。イカ・タコ類が敵に襲われたとき、漏斗から勢いよく水をはき出し、その水の反動で逃げる。その際、同時に墨をはき出し、敵の目をくらませる。タコ類の墨は粘性が低く、海水中で拡散しやすいが、イカ類の墨は粘性が高く、海中でひとかたまりになる。比較的動きが遅く海底にすむタコ類では、墨を煙幕のようにして体を隠すが、動きが早く海中を泳ぐイカ類では、ひとかたまりの墨を自分の影として残しその間に逃走する、いわば分身の術なのである。