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執筆:松浦啓一 タイのインド洋側にプーケットという島があります。バンコクから飛行機で1時間の距離にある緑にあふれた美しい島です。プーケット島はきれいな砂浜やサンゴ礁に恵まれているので、観光地として有名です。多くの観光客は南国の美しい景色を楽しむために島の西部に滞在するようですが、タイの人たちの日常生活に触れたくなったら、島の南部にあるプーケット・タウンに行くとよいでしょう。特に市場はおすすめです。市場には生活のにおいがあふれていますし、その国独自の食料品や衣料品などを発見できるのです。 プーケット・タウンの中心部には大きな市場がいくつかありますが、魚を見ようと思ったら南部の市場がよいでしょう。大きなデパートや映画館などがすぐそばにある、にぎやかな一角に市場があります。市場は屋外にも屋内にもありますが、屋外には魚や果物、野菜、鶏肉、豚肉など様々な食料品を売っている人たちがいます。また、2階建ての建物の中にも魚をはじめとした食料品や香辛料、日用品など、いろいろな品物が所狭しとならんでいます。 食料品を売る人たちは早朝から市場にやってきます。そして、朝の7時頃には大勢の人たちが魚や肉を買いに市場に集まります。タイの北部の市場には淡水魚が多いのですが、プーケットは海に囲まれているため、市場には海水魚が目立ちます。東南アジアの魚市場では海水魚の鮮度があまりよくないことがありますが、プーケットではそのようなことはありません。ハタやアイゴの仲間、色鮮やかなイトヨリダイなど、熱帯の海にすんでいる魚たちがたくさん並んでいます。どの魚も新鮮です。しかし、刺身にするにはやや問題があるかもしれません。日本人は魚というと、まず生で、つまり刺身で食べられるかどうかを基準にして鮮度を判断します。一方、東南アジアの一般の人たちは魚を調理して食べます。ですから調理することを基準にして鮮度がよいかどうかを判断するわけです。国が違うと魚の食べ方も異なることに注意しなければなりません。 |