南の動物プランクトン その他の動物プランクトン


ここには一つのグループとしてまとめられない動物プランクトンを集めた。ウミタルはクラゲのように見えるが系統的には脊椎動物に近いグループで尾索動物亜門(Urochordata)にいれられる。形は異なるが、オタマボヤもこの門に属する。生活史の一時期(主に幼体期)に脊索と神経管が尾部に現れることが特徴で、沿岸の岩に付いているホヤもこの仲間である。オタマボヤはカンテン質の大きな袋をつくり、そのなかで尾を振り動かして水流を起こし、袋の一部に備えたろ過装置で海水中の懸濁物をこし取り餌としている。この袋(家とも呼ばれる)は非常に脆く、ネットで採集することはできない。ここにはオタマボヤが尾を打ち振る様子を録画してある。バレンクラゲは刺胞動物・管クラゲの仲間で、1個体のようにみえるがこれは多数の個虫が有機的に結びついた群体で、管クラゲの中で最も進化したものである。非常に素早く動き回り、あたかもイカの稚仔と見間違えてしまうほどである。この動画はかなり弱った状態である。オストラコーダは二枚貝のように見えるが、コペポーダ(カイアシ類)と近縁で、貝虫類と呼ばれる。よく知られている仲間にウミホタルがある。貝殻のように見える背甲のなかで脚が動いている。ヤムシ類は毛顎動物門に属し、顎の両側に鋭い棘毛をもつことが特徴となる。世界で62種ほどが知られ、すべて海産。動物プランクトンのなかでは、最も活発な肉食性捕食者で、他の動物プランクトンを襲ってたべる。動きも素早く、静から動へ一瞬にして顕微鏡の視野からいなくなってしまう。


画像をクリックすると動画がダウンロードされます。取り込みに若干時間がかかりますが、ご辛抱ください。
ウインドウズ・メディアプレーヤーでご覧いただくよう設定しています。
クイックタイムが自動的に立ち上がる場合は、クイックタイム・プレーヤーのMIME設定からMPEGをはずしてください。

映像No. カウンター 種名 和名 査定者
14-13.6N, 142-53.6E Doliolidae ウミタルの仲間
(衰弱個体:通常はきれいな
樽型でかなり速く突発的に泳ぐ)
西川 淳

27-00.2S, 174-60.0E Physophora hydrostatica バレンクラゲ 窪寺恒己
12-00.1N, 141-56.8E Conchoecia sp. オストラコーダ 窪寺恒己
27-59.7S, 175-00.8E
ウキビシに付いたハイドロゾア 窪寺恒己
6-58.0S, 160-02.3E Oikopleura sp. おたまぼや 窪寺恒己
14-13.6N, 142-53.6E Saggita sp. ヤムシ 窪寺恒己
29-29.8S, 163-00.1E Saggita sp. ヤムシの仲間 窪寺恒己

Previous Page


All Right Reserved, National Science Museum Tokyo, 2005