白鳳丸KH95-2次調査航海:海洋観測風景
ノルパックネット・プランクトン採集

ノルパックネットはNorth Pacific Standard Net(北太平洋標準ネット)の略称で、北太平洋の動物・植物プランクトンの相対的な現存量を調べるために開発されたネットである。動物・植物プラントンが同時に採集できるように工夫されている。ネットの口径は45cmで、動物用のネットは網目0.33mm、長さ180cm、植物用は網目0.1mmで動物用よりやや長い。標準採集方法として水深150mからの鉛直曳が定められている。実際には船を停めて、ネットを水深150mまで沈めてから、ワイヤーの傾角を測り、その角度により深度を補正して、1m/secの速度で鉛直的に曳きあげる。ネットを洗った後、コッドエンドにたまった採集物を、動物、植物にわけて標本瓶にいれ、固定保存する。
CTDによる海洋観測

CTDはConductivity (導電率), Temperatuer(水温), Depth(水深)の頭文字で、鉛直的な水温の変化と導電率から導き出される塩分濃度を同時に測定できる機器である。CTDが開発される以前は、ナンセン採水器に取り付けた転倒温度計により水温、採水された海水から塩分濃度が測られていたが、CTDの出現により物理的な海洋観測が飛躍的に省力化された。画像のCTDには、フレームにGo/Flowと呼ばれる採水器が取り付けられており、船上から信号を送ることにより、極めて正確な水深ごとに採水が可能である。
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IKPT ネット採集

IKPTネットは、アイザックス・キッド・中層トロールの曳網装置(ブライドル・潜水翼)に大型プランクトン採集用のネットを取り付けた中層・斜行曳の大型ネットである。潜水翼の幅は約3m、開口面積は約9平米、ネットの長さは約16mで、網目は全て0.5mmである。KH95-2次航海の調査目的の一つが、ウナギ類のレプトケファルス幼生の採集であったため、このネットによる水深150mからの斜行曳採集が多数回行われた。今回撮影された動物プランクトンの多くが、このIKPTネットにより採集されたものである。
RMT1+8 ネット採集

RMT1+8はRectangular Mid-water Trawlの略で、イギリスで開発された開閉式装置を備えた大型の中層トロールである。上下2段のネットからなり、上のネットの開口部は曳網時に1平米(目合0.32mm)、下のネットは8平米(目合4.5mm)になるように設計されている。各々のネットは、アコーデオンのように5枚のネットが重ねられて、船上からの信号で一つずつ開閉していく仕組みになっている。そのため、水深別に水平曳を行うことにより、大型動物プランクトンやマイクロネクトンなどの鉛直分布を詳細に検討することのできる採集が行える。本航海では試験的に曳網が行われた。総員出動のたいへんな作業でした。
スバ港(フィジー)に停泊中の白鳳丸

本航海はフィジーのスバ港で1次航海の研究者と2次航海の研究者の入れ替えが行われた。出港の数日前に成田空港からフィジーのナンディ国際空港、さらに小型機に乗り換えスバについた。スバ港の沖にはわれらが白鳳丸(東京大学海洋研所属)が沖止まりしていた。この白鳳丸(3987トン、全長100m)は1991年に新造された、最新鋭の海洋調査船である。
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