絶滅危惧植物を地球規模で知る
國府方 吾郎

その一方で琉球列島は日本で最も絶滅危惧植物が集中する地域でもあります。単位面積当たりの種類数は九州以北の日本の約60倍にもなります。
私はこの琉球列島に分布する植物を中心に絶滅危惧植物を地球規模で捉える研究をしています。

例えば琉球列島で僅かに分布するイトスナヅル(クスノキ科 絶滅危惧IA類)はこれまでオーストラリアと隔離分布する共通種と考えられていましたが、外部形態と分子系統解析によって、世界中で琉球列島だけに分布する地球規模の絶滅危惧植物であることがわかりました(左図)。
琉球列島産イトスナヅルとオーストラリア産Cassytha glabella は分子系統解析によって直接関係ないことが示され、果実の表面にも違いがみられた。

私の研究が絶滅危惧植物保全に役立ち、多くの方に絶滅危惧植物を伝えることができればと願っています。
アマミカタバミ(カタバミ科 絶滅危惧IA類)日本で一番小さいカタバミの仲間。奄美大島とオーストラリアに分布するといわれているが詳しく調べなければいけない。
※絶滅危惧TA類とは
ごく近い将来における絶滅の危険性が極めて高い種、絶滅危惧種(狭義)のなかで絶滅の危険度が最も高い。

左:オキナワマツバボダン(ヒユ科 絶滅危惧TA 類)琉球列島の固有種といわれているが台湾や東南アジアにも似た種が分布する。
右:イラブナスビ(ナス科 絶滅危惧TA 類)宮古群島の固有種とされていたが、台湾でも発見された。本当に同じ種かははっきりしない。