堤 千絵(つつみ ちえ)
植物研究部
ランの仲間で、日本でも20種弱が知られています。中でも、クモキリソウやスズムシソウの分類が大変混乱しています。分子情報と分類の研究 から、明らかになった2新種を紹介します。
植物の名前は、生きた株に基づいているのではありません。右図のように「基準標本(陸上植物の場合はふつう押し葉標本)」とその特徴を記した「記載文」に基づいています。基準標本や記載と特徴が一致する植物を同じ名前で呼びます。
オオフガクスズムシソウという植物は、以前はコウライスズムシソウ(Liparis koreana)と呼ばれていました。しかしLiparis koreana の基準標本と比べると、両者は異なることが明らかになったのです。
オオフガクスズムシソウは、他のいずれの種とも異なることから、新種オオフガクスズムシソウ(Liparis koreojaponica) として発表しました。
(写真:オオフガクスズムシソウ(右)は、コウライスズムシソウ(左)より大きく、花はまばらにつき、葯帽(やくぼう)の先端が長く伸びない。コウライスズムシソウは、葯帽や花の特徴からスズムシソウの近縁種と考えられる。)
植物研究部