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天地固 天然の地質作用で生ずる固体物質

宮脇 律郎

地球の誕生から今日までの進化の物語は、「鉱物」という単語で綴られ、「岩石」という文章になっている。「鉱物」という単語は「原子」という文字の組み合わせである。
地球がつぶやく言葉の意味を説き明かし、辞典としてまとめる作業が私の仕事である。地学研究により解明された「文法」を基に、深い地底や宇宙の彼方からの手紙を読み解くことで、私たちは自らの住む星の成り立ちを理解することができる。現在、地球語辞典に収録されている「鉱物」の数は、約4300。鉱物学の進展に伴い、新たな語彙が毎年加えられている。
これまでに記載した新種鉱物

1986: Ammonioleucite, NH4AISi2O6
1986: Kimuraite-(Y), CaY2(CO3)4・6H2O
1998: Okayamalite, Ca2B2SiO7
1998: Tsugaruite, Pb4As2S7
1999: Itoigawaite, SrAI2Si2O7(OH)2・H2O
2000: Kozoite-(Nd), Nd(CO3)(OH)
2000: Tamaite, (Ca,K,Ba,Na,□)4Mn24(Si,Al)40(O,OH)112・21H2O
2001: Rengeite, Sr4ZrTi4Si4O22
2001: Pararsenolamprite, As
2002: Ominelite, (Fe,Mg)Al3BSiO9
2002: Matsubaraiite, Sr4Ti5Si4O22
2002: Potassicleakeite, KNa2Mg2Fe3+2LiSi8O22(OH)2
2003: Clinozoisite-(Sr), CaSrAl3(Si2O7)(SiO4)O(OH)
2003: Kozoite-(La), La(CO3)(OH)
2003: Watatsumiite, KNa2LiMn2V2Si8O24
2003: Protoanthophyllite, (Mg,Fe)7Si8O22(OH)2
2004: Magnesiosadanagaite, (Na,K)Ca2(Mg3Al2)Si5Al3O22(OH)
2004: Tokyoite, Ba2Mn3+(VO4)2(OH)
2005: Aspidolite, NaMg3AlSi3O10(OH)2
2006: Iwashiroite-(Y), YTaO4
2007: Hingganite-(Ce), CeBeSiO4OH
2008: Uedaite-(Ce), Mn2+CeAl2Fe(Si2O7)(SiO4)O(OH)
2008: Munakataite, Pb2Cu2(Se4+O3)(SO4)(OH)4
2008: Zhangpeishanite, BaFCl

専門分野
鉱物の結晶化学:地球という雑多な「るつぼ」でつくられた鉱物という多様な物質をミクロな視点から眺めています。鉱物の結晶の中で原子はどのように化学結合を持つのか、その規則性を調べて、鉱物の生成過程の理解や新材料の開発に反映させようと、目論んでおります。

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宮脇 律郎(みやわき りつろう)

宮脇 律郎(みやわき りつろう)

鉱物科学研究グループ
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