天然ガスを含む鉱物を調べる
門馬 綱一
千葉石(中央の結晶:約2mm)
単結晶は、八面体をベースとした形だが、結晶が2個接合した「双晶」をなすことが多く、六角厚板状の独特の外形を示す。
新鉱物 千葉石(chibaite)
千葉石の主成分は、水晶を同じくケイ素(Si)と酸素(O)。Si-O-Si...と結合がつながってサッカーボールのようなカゴ状の構造になっています。似たようなカゴ状構造を持つ鉱物としては、ゼオライト(沸石)があり、ゼオライトのカゴには水分子や金属イオンが入っています。一方、千葉石のカゴの中には、何と、メタンなどの天然ガズ分子が一分子づつ入っています。
この天然ガスは、海の底で、堆積物中に含まれる有機物が分解したもの。千葉石は、生物活動と、無機的な地質作用とが組み合わさってできた、地球ならではの鉱物です。
無色透明な千葉石の群晶。
千葉石の結晶構造。5角12面体の小さなカゴには主にメタンが、16面体の大きなカゴにはメタンのほかにエタン、プロパン、イソブタンなどの分子を含む。
千葉石を産出した露頭。赤い矢印が千葉石を含む脈。
焼くと黒くなる鉱物 メラノフロジャイト
メタンなどのガズ分子を含む鉱物としては、もう一種類、メラノフロジャイト(melanophlogite)という鉱物があります。この鉱物名はギリシャ語で「黒」と「炎」を表す語に由来し、加熱すると、含まれているメタンガズが炭化して結晶が黒くなることから命名されました。産出の稀な鉱物ですが、2011年に、国内では初めて千葉県内から確認されました。
メラノフロジャイトを産出した露頭。貝化石を大量に含む地層(下総層群)中の礫から見つかった。
無色透明なメラノフロジャイトの立方体結晶。結晶の大きさ:約0.1mm.