小松 浩典(こまつ ひろのり)
海生無脊椎動物研究グループ
深海とは一般に200m以深の海域を指し、そこは暗く、冷たく、高圧にさらされた世界です。そこにすむ生物たちは環境に適応するため特殊な進化を遂げてきたものが多く、これまでも多くの人々を魅了してきました。 国立科学博物館では平成5年度から深海生物相調査を継続しており、これまで駿河湾、土佐湾、南西諸島と暖流系の黒潮流域の調査を行い多くの成果をあげてきました。 現在は平成17年度から4年計画で、寒流系の親潮流域として東北沖太平洋で調査を行っています。今回はその調査の概要をご紹介します。 |
調査概要 調査は東北区水産研究所との共同研究で行われ、生物の採集には同所属の「若鷹丸」(692トン)が用いられました。青森から茨城にかけて測線を設け、水深150mから1500mの範囲で合計100点以上の調査点でオッタートロールおよびドレッジによる底生生物採集が行われました。 若鷹丸は最新鋭の設備を備えた調査船で、船員さん達の協力もあり、快適に調査をすることができました。ここに厚く御礼申し上げます。 |
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まとめ これまでの調査の結果、エビ類13科34属54種、ヤドカリ類6科7属12種、カニ類8科12属15種が記録されました。その中には数種の未記載種や海域初記録種が含まれ、分類学的に非常に興味深い結果が得られています。黒潮・暖流域と比べるとエビ類の多様性が高い一方、ヤドカリ類、カニ類の多様性が低いのが特徴です。詳細は2年後に出版される調査報告書に掲載される予定ですので、ご期待下さい。 |
海生無脊椎動物研究グループ