マンボウやフグ、カワハギなどは魚類のなかで最も進化したグループと言われています。これらの魚たちはフグ目に分類されています。フグ目魚類は形態も生態も多様です。マンボウは全長3m、体重2トン以上になる巨大な魚ですが、カワハギの仲間のRudarius minutusは全長3cmで成熟します。
多くのフグ目魚類は熱帯から温帯の浅海に生息していますが、一部のフグ科の仲間は東南アジアやアフリカの淡水にすんでいます。フグ目には約360種が含まれ、9科に分類されています。ギマ科やモンガラカワハギ科のように、詳しく研究されているグループがある一方で、カワハギ科やフグ科、そしてマンボウ科のように分類学的な研究が不十分なグループもあります。多様な形態を示すフグ目魚類をご紹介しましょう。
9科に分類されるフグ目魚類
ベニカワムキ科
Triacanthodidae
写真提供:遠藤広光
ギマ科
Tricanthidae
モンガラカワハギ科
Balistidae
カワハギ科
Monacantidae
ハコフグ科
Ostraciidae
写真提供:B. Hutchins
ウチワフグ科
Triodontidae
フグ科
Tetraodontidae
ハリセンボン科
Diodontidae
写真提供:岩槻幸雄
マンボウ科
Molidae
写真提供:杉山秀樹
私が発表したフグ目魚類の新種の一部を紹介します
イトヒキオキハギ Abalistes filamentosus Matsuura and Yoshino, 2004
西部太平洋の熱帯と亜熱帯の海にすんでいます。
ソコモンガラ Rhinecanthus abyssus Matsuura and Shiobara, 1989
琉球列島の水深120〜150mの海にすんでいます。
ケショウフグ Arothron caeruleopunctatus Matsuura, 1994
全長70cmになる大型のフグです。インド洋と西部太平洋のサンゴ礁にすんでいます。
クサビフグ(マンボウの仲間)の稚魚の透明染色標本
硬骨を赤く、軟骨を青く染めた標本です。マンボウの仲間には尾鰭がありません。尾鰭のように見えるのは、背鰭と臀鰭の後部です。この部分が後方へ延長して、体の後縁を囲んで尾鰭のように見える構造ができあがります。矢印は背鰭と臀鰭の後部を示します。