カメムシとともに39年
友国 雅章
お知らせ
現在、この研究者によるカメムシのお問い合わせは受け付けておりません。ご了承下さい。
私の専門はカメムシ類の系統分類学です。なかでも、グンバイムシ科、ナガカメムシ科、サシガメ科などを対象に研究しています。
きっかけ
私は「昆虫少年」でした。将来は昆虫の研究者になるのが、子供の頃からの夢でした。1970年に愛媛大学の大学院に進学したとき、はじめて出会ったのがコケにすむマルグンバイ(写真1)でした。小さいながらも、細かい網目模様のはねをもったこの虫に強く引きつけられました。研究材料の採集を始めてまもなく、徳島県の剣山でこれまで知られていなかった種(写真2)を発見し、ツルギマルグンバイという新種として発表しました。それから39年間、グンバイムシを含めたカメムシのなかまの研究を続けています。今、サシガメが面白い
今もっとも力を注いでいるのは「アジア産サシガメ科の分類額的研究」です。このなかまは中国にたくさんの種がいて、日本のサシガメを調べるには、中国の種との比較が欠かせません。中国の優秀な研究者(彩万志教授)や日本の若い研究員とともに共同研究を行っています。その成果として、我々が発見した新種のサシガメをいくつか紹介します(写真3-6)日本のカメムシインベントリー
私のもう一つの研究テーマは、『日本にどのようなカメムシが、どのように分布しているか』を明らかにすることです。このような研究をインベントリーといいます。私が研究を始めた頃、日本から知られているカメムシ類は800種足らずでした。私を含めた数名の専門家と日本各地のアマチュア研究家の協力で(写真7)、今では1,200種近いカメムシ類が日本に分布していることが分かっています。日本のカメムシインベントリーに大きく貢献したのが、数人の仲間と一緒に1993年に出版した「日本原色カメムシ図鑑」(写真8)です。この図鑑の登場で、カメムシに興味を持つ昆虫愛好家が増えました。その結果、あちこちで新種や日本未記録種が見つかり、日本のカメムシの種数は著しく増えていき、今でも毎年新しい発見が続いています。