ヒトやイヌには顔があります。トンボにもあります。でも、ハマグリやヒトデには顔がありません。なぜでしょうか。
そもそも、顔は、どうしてこんなに気になるものなのでしょうか。顔を見ないと、誰が誰だか判りません。でも、それだけでなく、顔がその人の意思や感情を表しているからこそ気になるのです。さらに、顔はその人の魅力の象徴になっているからかもしれません。
今回の大顔展は、私たちの顔をさまざまな面から分析することによって、顔を理解し、みんな「いい顔」になろうという目的で開催するものです。まず、注目すべき展示を紹介しましょう。
デカルトってどんな人?
「吾思う、故に吾有り」で有名なルネ・デカルトは、フランスの17世紀の哲学者ですが、はじめて数理科学的な考え方で自然を統一的に理解しようとした科学者でもあるのです。そのデカルトの頭骨が、パリの人類博物館に保管されていました。頭骨の脳容積はかなり大きめです。記録によると、デカルトは小柄ですがバランス
のとれた体つきで、剣術が上手だったそうです。
今回、人類博物館の特別な許可を得て、デカルトの頭骨を「大顔展」で展示させていただくことができました。また、頭骨のレプリカに基づいて復元胸像を作りましたので、デカルトの肖像画と比べてみてください。
あのデカルトの偉大な思想が、この頭骨の中で生まれたことを実感できるのは、科学や哲学に関心を持つ人なら誰でも、生涯忘れないほど貴重な体験になることでしょう。
生きている著名人の復元頭骨
人類学者はいつも他人の頭骨を研究していますが、自分の頭骨を手に取って研究することは長年の夢でしかありませんでした。しかし、最近、CTやMRIで撮影したデータを三次元合成して、実物そっくりな頭骨のプラスティック模型を作り、それを手に取ってながめることができるようになりました。
今回、歌手アルフイーの坂崎幸之助さん、イラストレーターの南伸坊さん、タレントの篠原ともえさんにご協力いただいて、3人の頭骨模型を作っています。3人の頭骨模型を通じて顔の内部構造が明らかになります。 |