笠原陸産貝類とカサガイ
1968年の小笠原諸島の日本への返還にともない、さまざまな動物が天然記念物に指定された。貝類では陸産の種のほとんど約100種、海産の貝類1種が含まれている。代表的なものとしてはエンザガイ類がある。このグループは日本本土に分布するベッコウマイマイ類に起源をもつと考えられ、属レベルで小笠原に固有である。属の中には18の種と亜種が含まれており、殻の形態が、扁平な形から丸い形まで、他に例を見ない大きな放散をとげていることで有名である。しかし、残念ながらその7割近い種類が既に絶滅種のリストに載せられてしまった。
海産貝類の中では小笠原諸島に固有の日本最大の傘形貝類であるカサガイが天然記念物に指定されている。大きな個体では殻の長さが9cmにもおよぶ。かつてはそれぞれの島で多産したが、現在では大型の個体は人目につくところでは見られなくなっている。
日本列島に生きる未来への遺産 | 開催要項 | 5 天然記念物の無脊椎動物 |