これまでのたゆまぬ調査と、その結果収集された「標本」についての研究により、相模湾が海産動物の豊富な海であることがわかってきました。相模湾での調査は、今からおよそ130年前、文明開化華やかな明治初期に、お雇い外国人教師として来日した、ひとりの博物学者の興味がきっかけとなりました。彼の名はデーデルラインといいます。デーデルラインが相模湾の価値を発見した後、相模湾の海産動物への興味がまずヨーロッパを中心に高まりました。ヨーロッパの研究者におよって始められた調査は、日本の研究体制が整うにつれ、東京大学の三崎臨海実験所を訪れる数多くの日本人研究者によってなされるようになりました。その後、昭和天皇が約60年にもわたり相模湾の調査をされ、珍種・奇種を含めてたくさんの発見がなされました。ひとつの海域が、これほどまで長期にわたって調査されたのは、たいへん珍しいことです。そして、相模湾では調べれば調べるだけ、さらに新しい発見があります。国立科学博物館もこの調査の歴史を引き継いで、現在も相模湾の調査を行っています。
100年以上前に相模湾で採集され、新種記載された普通種のタイプ標本 ホテイエソ(ストラスブール動物学博物館蔵)→ |