日本の医学・医療は世界の最先端と言われているが、その始まりは江戸時代にあった。山脇東洋が日本初の人体解剖を行い、その情報により各地で解剖が行われるようになった。また1774 年、杉田玄白らが翻訳した『解体新書』は、蘭学が急速に日本中に広まるきっかけとなった。人々を救うために、正しく人体がどのような構造であるかの解明が、漢方医らも含めて始まったのである。
本展では、当時の希少な解剖図などの史料の他、江戸時代の医療道具等も展示し、中国から来た漢方と西洋から来た蘭方が、「医は仁術」が実践された日本で、いかに独自に発展して人々を救ってきたかを探っていく。
展覧会の見どころとして77 年ぶりに発見された杉田玄白らの直筆掛軸や山脇東洋の『蔵志』原本が初公開となる。
また、最先端医療では、人体の可視化をテーマに3Dプリンターによる臓器モデルなど、日本が世界に誇る技術を紹介する。
1774年に出版された日本初の本格的翻訳西洋解剖書である解体新書により蘭学が盛んになった。
その中心人物の杉田玄白と桂川甫周の直筆書簡がこのたび発見され、世界で初めて公開される。これは玄白が蘭学発展の功績を認められ、将軍に会う事の喜びを詠った漢詩などの貴重な史料である。
1754年、日本で初めて京都所司代の許可を得て行われた人体解剖の記録図。1759年に「蔵志」として出版された。本図は山脇東洋の印「賜養寿院」がある。新発見の原図。
平賀源内が日本で初めてエレキテルを製作して以後、医療用のエレキテル研究は蘭学の重要分野でした。
解体新書などの影響を受けて製作された漢方の(五臓六腑)人形。現存する唯一の医学生き人形と考えられる貴重な史料です。
江戸時代初めて人のからだを解剖し、出版された「解体新書」から240年あまり。現代医学によって人のからだは次々に解明されています。最先端医学や先進の医療機器によってわかってきた、からだの中の構造や機能を映像、CG再現、模型などによって紹介します。
近年、注目を集めている3Dプリンター。
実際の患者からCTスキャンした画像データをもとに、3Dプリンターで作成した臓器モデルを展示。
外科医は患者の病気の状態を目で確認して手術の計画を立てたり、手術前のシミュレーションをするなどの活用をしている。
イベントなどで見かけるプロジェクションマッピングも外科手術に活用されている。
手術を受ける患者に、CTデータをもとにした本人の体内画像を投影することで、手術の目標、避けなければいけない臓器や骨、血管などを可視化することができ、安全な手術の補助をしている。
展示では、その技術を利用し、実在の人物のCTデータで作成した映像を等身大の模型にマッピングすることで、 体内の様子、身体の構造や働きなどをわかりやすく説明する。