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理工電子資料館

第一国立銀行模型

 日本が開国して間も無い1872(明治5)年頃、東京はまだ江戸時代の家並がほとんどそのまま残る都市でした。横浜の居留地や、一部の庁舎などには西洋建築が建てられていましたが、それらは外国人建築家によって建てられたものです。しかし、日本人の大工達も西洋館という新しい文明開化の時代を象徴する建物を造らなかった訳ではありません。彼等は、西洋の建築技術は全く知りませんでしたが、持てる力をふりしぼって開化の時代にふさわしい建物を造ろうとしたのです。一見するとお城の様に見えるこの建物も、清水喜助という大工棟梁が苦心して造った、最も初期の西洋建築です。バルコニーやガラス窓などそれまでの日本建築に無かった洋風建築の部分が使われています。1872(明治5)年にこの建物が竣工した時、人々は今まで見た事も無かった形に驚きました。東京名所の一つにもなり、小林清親の錦絵にも描かれたりしました。この日本人が外国人の手を借りずに造りあげた最も初期の洋風建築も、1897(明治30)年頃取り壊された後、建築の教科書などに取り上げられることはあっても、全体の正確な形は分かりませんでした。この模型は初田亨氏によって行なわれたこの建物の詳細な研究にもとづいて、当館が初期の形に出来るだけ忠実に復元したものです。

参考写真(1):実際の第一国立銀行の様子

参考写真(2):復元した立面図面

参考写真(3):復元した詳細図面

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