日本ゼオン最初の塩化ビニル重合器
日本ゼオン高岡工場に設置されていたときの本重合槽 左:上部 右:下部(2008年2月撮影)
ポリ塩化ビニル(塩ビ)は、ドイツで1931年に、アメリカで1933年に製造が始まりました。日本では1941(昭和16)年から乳化重合法により製造されていましたが品質の劣るものでした。
1950(昭和25)年に日米の合弁会社 日本ゼオンが設立され、アメリカの技術である「懸濁重合法」を導入して1952年6月から品質の良い塩ビが製造されるようになりました。これをきっかけに塩ビが電線被覆や水道管など日本の国民生活に広く使われるようになりました。このように広まったため「ビニール」という単語がポリフィルムを意味する一般名詞として使われるようになりました。
本重合器は、日本ゼオン蒲原工場(静岡県)で最初に用いられたものです。その後、同社高岡工場(富山県)に移設され、別の用途で利用されました。同社が塩ビ事業を廃することに伴い、2008年に当館に寄贈されました。日本の化学工業の歴史を示す貴重な資料です。
参考文献 宮本眞樹、塩化ビニル技術史の概要と資料調査結果、『国立科学博物館 技術の系統化報告 第1集』、国立科学博物館、2001年、pp. 75-103.
http://sts.kahaku.go.jp/diversity/document/system/pdf/004.pdf