NE式写真電送装置
NE式受信機
NE式送信機
1928(昭和3)年11月10日に京都で行われた昭和天皇即位式の模様をいかに早く東京に伝える事ができるか、写真を飛行機で運ぶか、伝書鳩でか、鉄道か、情報メディアにとって新しい時代をアピールする良い機会でした。新聞各社はドイツのシーメンス・カロルス・テレフンケン方式やフランスのベラン方式を導入し世紀の瞬間に備えました。NE式はこの際に急きょベラン方式に代わって使用されて大成功をおさめ、先端技術の分野で初めて国産機が外国技術と渡り合える事を示しました。本装置は、1928(昭和3)年3月に初めて実験に成功した時の装置です。
送信装置側では、光源から出た光は歯車に遮られ、明滅光となり集光レンズで回転円筒に投射されます。光は円筒表面のフィルム(原書)を透過して、円筒の中のプリズムに当たり、方向を変え光電管に入射します。光電管によって電気に変換された映像信号は、同期電流とまぜて電話線へと送られます。受信側では、受信された電流は1k~6kHzの映像信号と、200Hzの同期信号とに分けられ、映像信号は鏡のついたガルバノメーター(電流計)へ、同期信号は同期電動機へ送られます。一方光源から出た光は、ガルバノメーターの鏡に反射して受信用円筒に向かいますが、鏡は映像信号の大きさで振れるので、受信円筒に照射される光は映像信号に応じて明滅することになります。こうして送信側と受信側の円筒が同期して動く事により、送信側の絵が受信側で焼き付けられます。NE式では、21cm×18cmの面積の原書を約5分で送信することができます。