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理工電子資料館

仁科型電離箱(宇宙線計)5号機

年代:1940年代
大きさ:横38 cm, 高さ73 cm, 奥行き68 cm

 宇宙から地球に降り注ぐ放射線(宇宙線)を観測する装置です。日本の原子物理学研究を牽引した物理学者・仁科芳雄(1890–1951)の名を冠して「仁科型電離箱」と呼ばれています。
 装置に飛び込んできた宇宙線が、内部に封入された高圧ガス中のアルゴン原子に衝突すると、電子が放出されます(電離)。この微弱な電流を、同じく内部に封入されているウラン粉末を用いた工夫(β線電離による補償法)によって、精度良く計測します。結果は、自記式でフィルムに記録されます。宇宙線のエネルギーの高い成分だけをとらえるため、観測時には厚さ10 cmの鉛ブロックで全方位が覆われました。
 「仁科型電離箱」は、異なる場所での長期間の宇宙線観測を目的に、1935年から理化学研究所・工作係において設計・製作されました。1941年末までに計5台が完成しています。
 当館の所蔵する5号機は当初、東京・天文台構内に設置されて1942年1月から観測を開始しましたが、1945年3月の東京大空襲を機に疎開しました。戦後、再び東京に戻され、理化学研究所の板橋分所において1947年12月から観測が再開されました。その後も継続的な整備・改良を経ながら、およそ半世紀にわたって観測に用いられました。
 なお2023年には、理化学研究所の所有する2号機が日本天文学会の「日本天文遺産」に登録されています。
(提供:理化学研究所)

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