長岡半太郎資料
長岡半太郎(1865-1950)は明治後半から昭和前半まで活躍した物理学者です。田中館愛橘(1856-1952)を日本の物理学者の第一世代とすればそれに次ぐ第二世代に当たり、本多光太郎、仁科芳雄を始め多くの後継者を育てました。
長岡博士といえば世界に先がけて有核(中心に核をもつ)原子模型を提唱したことで有名です。そのほか物質の磁気的性質の研究、光学の研究、地磁気や重力の測定、岩石の力学的性質の研究、コイルの誘導係数の計算(長岡係数として知られている)、電波の伝播についての研究など、物理学をはじめ物理学に関連した地球物理学、工学の分野で多くの研究を手がけました。博士はこの時代の日本を代表する学者でもあり、そのノート・日記・手紙・メモは日本の科学の歩みを示すたいへん貴重な資料となっています。
上はドイツ留学時代(1893-1896)にプランク、ヘルムホルツなど高名な物理学者の講義を聴講したときのノート、下はヨーロッパに留学していた仁科博士からの手紙です(1928[昭和3]年1月、候文で書かれている)。