今村式2倍強震計
国立科学博物館で所蔵しているこの地震計は、本郷の東京大学構内において1923(大正12)年の関東大地震の激しい揺れを記録したものと言われています。
今村明恒(1870-1948)が1911(明治44)年に作った低倍率の地震計で、水平動2成分、上下動1成分とも2倍に拡大して1枚の紙に記録します。水平動には水平振子を、上下動にはユーイング型上下動振子を使用しています。振子の周期は水平動が10秒程度、上下動が5秒程度で、油槽式の制振器を備えています。
記録ドラムは桐の板を張り合わせて作ってあり、その駆動はテンプで調速したゼンマイの動力によります。記録は煤書式で、紙送りの速さは毎分約4cmです。もともとは電磁石が上下動の記録針の前方に突き出ていて、クロノメーターという刻時用時計からの電流パルスで鉄の記録針を一瞬持ち上げて、時刻の印を入れるようになっていました。