加速度地震計(上下動)
石本巳四雄(1893-1940)は、地震動の加速度を記録するため、1931(昭和6)年に水平動用、1933(昭和8)年に上下動用の加速度地震計を発表しました。この写真にある地震計は機動観測用に小型化した上下動加速度地震計で、石本式加速度地震計と同様の構造をもっています。
板バネでできた支点をもつ重錘をつるまきバネで吊った形の上下動振子とピストン式の空気制振器を用いていて、固有周期の短い振子に適当な制振をかけると、その動きが加速度に比例するようになります。しかしその一方振子の動きそのものは非常に小さくなってしまいます。そこで、摩擦を減らすなど機構上いろいろな工夫をほどこし、拡大倍率を大きくできるようしています。
地震の被害は地震動の加速度に大きく左右されることがわかっています。石本による加速度地震計の発明は日本の地震工学の発展に貢献しました。