ミルン水平振子地震計 (重要文化財)
日本で地震学を始めた一人、ジョン=ミルン(1850-1913)が日本を離れる少し前の1894(明治27)年頃に作った水平振子地震計です。
記録方法は光学式で、光源には石油ランプを使います。振子から長く伸びた軽い棹の先にスリットがつけてあり、暗箱の方にはこれに直交したスリットがあって、この2つのスリットの交点を通る光の動きを長巻の印画紙に記録します。記録紙の送り速度が遅いのに加えて、制振器を欠いていたために振子の余計な振動が重なってしまい、地震波のP波、S波などのいろいろな相の識別が難しいのが欠点でした。
ミルンの帰国後、この地震計は当時のイギリスの国力を背景に世界各地に置かれるようになり、スコットの探検隊に託されて南極にまで行っています。科博で収蔵しているミルン水平振子地震計の銘板には8番の刻印が見られます。これは震災予防調査会で購入したもので、ミルンの創設した世界最初の地震観測網の観測点の一つになっていた東京本郷の東京大学構内で使われました。