零式艦上戦闘機二一型改造複座機
この零式艦上戦闘機(零戦)は、ラバウル北西のニューブリテン島ランパート岬沖約250m、水深8mの所に裏返しで沈んでいたもので、1972(昭和47)年に発見されて引き上げたものです。保存状況もよく、整備41機で、偵察用として復座に改装された、正式には存在しない零戦であることがわかりました。ベースは零戦21型で、機体番号「53-122」はラバウルに残留した航空部隊二五三空の所属であったことを表しています。
零式艦上戦闘機、通称「零戦(ゼロ戦)」は、皇紀2600年(1940年、昭和15年)に海軍の制式戦闘機として採用されたため零式と呼ばれています。日本の航空機開発技術は1935(昭和10)年前後にようやく欧米13000kmを超える驚異的な航続性能を誇り、開発当初は世界でも最優秀の飛行機としてめざましい活躍をしました。終戦までの5年間に、11型、21型、32型、22型、52型等多数の改造機種を生み、日本の飛行機史上最高の約1万機が生産されています。21型は開戦初期の主力機で、空母搭載のために両主翼端50cmが折り畳み式となっています。
諸元:21型(ベース機体諸元)
製作:三菱重工業、中島飛行機
エンジン:中島 「栄」12型空冷2重星形14気筒 940馬力
座席:1名(本機は2名)
全長:8.79m
全幅:12m
全高3.509m
自重:1680kg(全備重量:2336kg)
プロペラ:住友金属製ハミルトン定速3翅(直径2.9m)
最高速度:533km/h
航続距離:3350km(落下タンク付き)