貝形虫
貝形虫は節足動物、甲殻類の一綱をなす生き物です。カイミジンコとも呼ばれ、その名が示す通り、二枚貝のような背甲とミジンコに似た体部や付属肢をもつ多細胞動物です。ただし、分類学的にはミジンコとは別グループの動物です。左右二枚の背甲は背縁部の“ちょうつがい(蝶番)“で連結され、付属肢を動かすことで殻を開けて生活しています。同じ種でも、背甲サイズはメスのほうがオスよりも大きくなることが一般的です。貝形虫は、淡水から海水まで、地球上のほとんどの水域に広く生息しています。生活様式は様々ですが、ほとんどの種が底生生活者です。卵から孵化してすぐに底生生活をはじめ、脱皮をして成長します。底生生活が長いため、地域ごとに固有種も多く存在します。
貝形虫のもっとも古い化石記録は、オルドビス紀前期(約5億年前)にさかのぼります。炭酸カルシウムを多く含む固い背甲が微化石として地層中に多く残され、その体長は0.5~1.0mmほどです。貝形虫は多様性の高い微化石で、古生代以降の地層の時代決定や対比を行う示準化石として、また過去の水域の環境の復元における示相化石としても重要な役割を担っています。化石でも雌雄を識別できるので、生物進化や動物の性あるいは生殖様式の進化の歴史について研究する材料としても、とても重要な生物とされています。
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