プランクトンと微化石

コノドント

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様々な形を見せるコノドント化石の例。
右上より枝状コノドント(ramiform)、板状コノドント(pectiniform)、
円錐状コノドント(coniform)、枝状コノドント(ramiform)。
コノドントは、カンブリア紀から三畳紀の海に生息した生物です。コノドント(conodont)とは、ラテン語で“円錐状の歯”という意味で、その名前の通り円錐状の形をしたものや、縦長の“土台”の上にとがった突起が並ぶものなど、様々な形状を持ちます。一つ一つは0.2ミリ~1ミリ程度の大きさで、観察には顕微鏡を必要とするので、微化石として扱われます。

コノドントは、1856年にラトビア生まれの研究者パンダー博士(Christen Heinrich von Pander)によって名づけられました。博士はシルル紀の頁岩の表面に残った化石を「未知の魚類の歯」であると結論付けましたが、「歯」だけが見つかり持ち主の化石が見つからないため、その正体は長らく謎のままでした。

1983年、スコットランドで「歯」の持ち主の全体の化石が発見されたことが報告されました。化石の証拠によると、この生物はウナギのような細長い体をもち、「歯」は口から奥まったところに規則正しく並んでいたことが分かります。「歯」の機能は、捕食や消化にかかわる器官であるという説が有力です。

コノドントは、コノドントの多様化するオルドビス紀から三畳紀までの約三億年の期間で、最も信頼性・精度の高い示準化石として利用されています。しかし、数回の大量絶滅期を生き延びてきたコノドントが、なぜ三畳紀以降に見つからないのかよくわかっていません。
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コノドント器官の模型(国立科学博物館、常設展示地球館地下2階)。
上写真は横から、下写真は正面から撮影したもの。
コノドント動物の想像図。
ウナギに似た細長い形をした生物であったと考えられている。
体内にリン酸塩からなるエレメントを配列したコノドント器官をもっていた。
コノドント器官のエレメントの配置はM、S、Pのアルファベットを付して区別されており、
各エレメントは前方よりM element、S element、P element と呼ばれている。
図中のエレメントの配置はGoudemand et al. (2011)に基づく。
ペルム紀コノドント化石。
Mesogondolella omanensis Kozur et Wardlaw [Gondoellidae科 Neogondoellinae 亜科]
(左から、横図、斜め上図)
三畳紀のコノドント。
Budurovignathus mungoensis (Diebel) [Gondolellidae科]
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