放散虫の進化系列
放散虫は、進化系統の研究が盛んです。放散虫の新種の出現には、二つのパターンがあります。一つは、祖先種がある時期に急激に形態を変えて子孫種に交代するパターンです。交代が終わると、祖先種はいなくなります。もう一つは、祖先種から子孫種が現れても祖先種と子孫種が共存し続けるパターンです。この場合、祖先が先に絶滅することもあれば、子孫が先に絶滅することもあります。こうした種の祖先・子孫の関係は、化石記録を年代順に連続的に見て調べます。
このときに役に立つのが、中間形態の存在です。放散虫は、祖先種と子孫種で、かなり異なる形態をもつことがあります。しかし、中間的な形態の個体がいることから、これらの種にも祖先子孫関係があることが分かります。
中間形態を持つ個体の産出は、多くが短期間で、すぐに祖先から子孫へ種が変わってしまいます。しかし、中には長い時間をかけて徐々に形態が変わっていく系統が存在します。こうした系統では、形態の違いではっきり祖先種と子孫種を分けることができません。この場合、人為的に基準を設けて種を分けることがあります。このような種を、「進化的種」と呼んでいます。これは、「種とは何か」を真剣に研究している人には驚くような分類かもしれません。しかし、信頼性の高い示準化石として使われています。
Copyright© 2007-2024 国立科学博物館 植物研究部
Department of Botany, National Museum of Nature and Science.
All rights reserved.
サイトポリシー