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美しい殻をもつイモガイ類は、口から“毒銛”を発射してゴカイや貝、魚など生きた動物を捕食する。なかでも魚食性のベッコウイモガイの摂餌方法はまさに“狩り”そのものである。ベッコウイモガイはそっと獲物の魚に近づき、長い吻を伸ばして毒のついた“銛”を打ち込む。さらに銛には“銛綱”がついており、毒で麻痺させた獲物を引き寄せて丸呑みにするのである。
写真1:長い吻を伸ばしてそっと獲物に近づく。写真2:毒銛を打ち込んだところ。写真3:丸呑みにしてしまう。撮影:楚山 勇
鋭い先端には逆鉤があり、抜けにくくなっている。軸は中空で、中に毒が注入される。また“銛綱”は口でしっかりくわえ、魚が暴れても逃げられないようにしている。銛としてはたらくのは歯舌という器官である。イモガイ類では他の貝類ではテープ状の歯舌の基底膜が退化し、小さな歯舌歯が銛の形に変化しているのである。(撮影:斉藤 寛 歯舌顕微鏡写真)