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Database for Aquatic-vertebrate Science

巨大なコレクションとコンピュータ

執筆:篠原現人



国立料学博物館は自然史系の研究部を持つ国内唯一の国立博物館です。博物館の研究者は国内はもちろんのこと、海外でも調査をしながら標本を収集します。集めた標本の保管は博物館の大切な使命の一つです。そのような性格を考えると、コレクションがどんどん膨らんでいくことが容易に理解できると思います。



国立科学博物館新宿分館内にある魚類標本室。
国内や海外から集められた標本がところせましと並んでいる。


国立科学博物館の魚類コレクションは、その標本数からみて国内最大です。約150万個体あり、世界的に見ても有数のコレクションです。標本は研究や教育に用いられるために大切に保管されています。

魚類研究室では1980年代の半ばから、膨大な量のコレクションを管理するためコンピュータを導入しています。しかし、コンピュータが導入される以前から、すでに膨大な量に達していたため、すべての標本データがコンピュータに入力されている訳ではありませが、約5万件(130万個体分)の標本が登録済みです。また、未登録の標本の他に毎年数千個体の新しい標本が博物館に集まっており、随時登録をしています。

ソフトウエアは、コストパフォーマンスや汎用性、操作性に優れる市販のデータベースソフトを利用しています。

実際のコンピュータによる標本管理の流れは、まず同定した標本に登録番号を与えることから始めます。次に50項目にわたる標本のデータを入力し、保有したデータを耐水紙に印刷します。この耐水紙を標本ラベルとして標本と一緒にビンにいれ、標本を標本庫の中の科(family)という分類単位ごとの棚に置きます。ここまでは手間という点で、コンピュータの導入前と大差がありません。しかし必要な標本を探しだす際は一転します。コンピュータの導入以前は、必要な標本の有無を標本台帳やカードで探すか、棚で実物を探すしか方法があリませんでした。したがって館外の研究者からの標本に関する問い合わに対して、非常に多くの時間を かけて対応してきました。現在はコンピュータの力によってこれらの仕事が非常に能率的にできるようになっています。この魚類標本データベースは淡水魚の一部を除き、館外から検索できませんが近い将来、検索サービスを予定しています。


50項目にわたる標本のデータを入力したラベル
ラベルについての詳細は「標本に関すること」の「液浸標本のラベル」をご覧下さい。