持 ち つ 持 た れ つ
クマノミの仲間たち


種の和名 :トウアカクマノミ
写真番号 :KPM-NR0021733
撮影場所 :沖縄県,沖縄島北谷町砂辺
撮影者 :池田正樹
備考 :水深20m


種の和名 :トウアカクマノミ
写真番号 :KPM-NR0031956
撮影場所 :沖縄県,伊江島
撮影日 :1997年 6月 10日


撮影者 :吉田土祐子
種の和名 :カクレクマノミ
種の学名 :Amphiprion ocellaris Cuvier, 1830
写真番号 :KPM-NR0028102
撮影場所 :沖縄県,慶良間諸島嘉比島,安慶名敷島間
撮影日 :1998年 12月 28日
撮影者 :妹尾万里
備考 :水深5m,水温24℃

クマノミの仲間はスズメダイ科に属する小型の魚で、すべてイソギンチャクと共生しています。クマノミの種類によって共生するイソギンチャクの種類は決まっています。したがって、あるイソギンチャクにはトウアカクマノミがすんでいますが、イソギンチャクの他の種類には他のクマノミがすんでいるわけです。


クマノミの仲間は泳ぎが下手で、イソギンチャクから離れると他の魚の餌食になってしまいます。イソギンチャクの触手には刺胞とよばれる有毒な器官があり、他の魚はイソギンチャクを攻撃しません。したがって、イソギンチャクの中に隠れてしまえばクマノミは敵に襲われる心配はありません。では、クマノミに安全な住まいを提供しているイソギンチャクはクマノミから利益を得ているのでしょうか。どうやらそうではなさそうです。クマノミがすんでいないイソギンチャクも見つかるのですが、それらのイソギンチャクも問題なく暮らしているのです。


クマノミの親はイソギンチャクがついている岩やサンゴに卵を産みます。しかし、トウアカクマノミの場合には砂地にいるイソギンチャクに共生しているため、イソギンチャクの周りが砂だらけで産卵に適した場所がないことがあります。このような場合には、トウアカクマノミはサンゴのかけらや貝殻の破片をイソギンチャクの近くに運んできて、それに卵を産むこともあります。こうしてトウアカクマノミの卵はイソギンチャクのすぐそばで育ちます。卵がふ化するまで雄親が主に世話をします。鰭をあおいで新鮮な海水を卵に送ったり、卵についた汚れをとったりします。卵は産卵から1週間後の夜(日没直後)にふ化します。


ふ化した後、クマノミの子供たちは8-12日くらいの間、プランクトンのように海の中を漂って過ごします。その後、子供たちは海底に降りてきてイソギンチャクを探します。どのようにしてクマノミの子供は特定のイソギンチャクを探すのでしょうか。どうやら、イソギンチャクが出す化学物質を手がかりにしているようです。サケが自分の生まれ故郷の川のにおいを頼りにして戻ってくるように、クマノミの子供はイソギンチャクのにおいを頼ってすみかを探しているようです。


クマノミはなぜイソギンチャクに刺されないのでしょうか。これには二つの説があります。クマノミの子供は身を守る粘液を体の表面から出しているという説とイソギンチャクの出す粘液を体につけて、それによって刺されないようにしているという説があります。特定のイソギンチャクにすむクマノミの子供を他のイソギンチャクに移すと、刺されて死んでしまったという報告があります。この場合には、クマノミが自分で出している粘液が他のイソギンチャクの毒を防ぐことはできなかったと考えることができます。一方、あるクマノミがすんでいるイソギンチャクから他の種類のイソギンチャクに移しても平気だったという報告もあります。