シマフクロウは最も北方に分布する魚食性フクロウで、日本では北海道の限られた地域にすむ、わが国最大のフクロウである。海から遡上するサケ科魚類を主要な餌とし、その他、カエルやサンショウウオなどの両生類、ザリガニなどの甲殻類、ヤチネズミなどの小型哺乳類、カモなどの鳥類も食べる。低地の河畔林に生息し、広葉樹の樹洞に営巣する。アイヌから村の守護神としてあがめられてきた。
かつては北海道全域に分布していたことが標本やアイヌ民族資料などから確認されているが、現在では中央部および東部に分布が縮小している。また、生息環境の悪化により、現在では個体数も100羽程度まで減少していると推定される。環境庁が主体となって、樹洞の減少を補うための巣箱設置と遡上魚類の減少を補うための給餌池の設置がおこなわれ、繁殖の成果をあげているが、若鳥の自立・分散をさまたげる要因となる可能性も指摘されている。
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