ニホンカワウソは特別天然記念物として保護されているが、高知県での確認を最後に生息情報が途絶え、すでに死に絶えた可能性が指摘されている。頭胴長70cmほどで、細長い体形と茶褐色の体毛が特徴である。渓流岸の岩場に生息し、河川から沿岸部まで泳ぎ出る。エビ、カニ、小魚などを餌とし、陸上では小型の鳥類やノネズミ類を捕食していると推測されている。
ユ−ラシア大陸のカワウソの一集団と考えられてきたが、形態学的特徴が検討された結果、当館の今泉吉典博士と吉行瑞子博士(現東京農大教授)とにより、1989年に新種として報告された。かつては本州・四国・九州に広く分布していたらしく、骨の一部が各地の遺跡から出土している。日本の近代化とともに河川環境が悪化し、また毛皮をとる目的で捕獲され、次第に生息域を追われていったと考えられている。
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