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赤毛の小穂(左)と大黒の小穂(右) |
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大黒」は、七福神のひとり「大黒さま」から名をとった背丈が30センチ程度の小さなイネで、東北地方などでは「田の神」とも呼ばれています。ポット栽培にして、60日〜90日くらいでイネの花をみることができます。企画展会場においてこの「
大黒」の種子を配布する予定です。
(※9月18日より、一日につき先着100名様に配布する予定です。合計1万名様分を準備できる見通しですが、栽培状況により変更があります。準備分が無くなり次第配布を終了いたします。)
この企画展では、「米」「イネ」が中心テーマの1つです。イネのいろいろな品種の存在は、そのまま遺伝的多様性の高さを示しています。日本にもずいぶん変わった品種が多く残されていますが、今回種子を配布したのが「大黒」という品種です。大黒は、通常のイネに比べ、種子が丸く、背丈も30-40センチ程度と低く、また葉もずんぐりとした独特の姿の品種です。東北地方などでは「田の神」とも呼ばれ、かつては田の水口(水を取り入れるところ)に栽培されていたといいます。大黒の名は七福神のひとり「大黒さま」からきていますが、ずんぐりとしたその姿に由来するものと思われます。
遺伝学的にも大黒は興味のあるイネです。通常のイネと大黒とを交配してできた孫の世代には、通常型と大黒型が3:1の割合で出現します。大黒型は、1個の劣性遺伝子に支配されていることがわかります。大黒にはいくつかのルーツがありますが、今回配布するのは、「赤毛」という品種から、弘前大学の金木農場にて近年突然変異をおこしてできたもので、DNAを比べても、通常型とくらべわずか1個の塩基がなくなったことが違うだけです。1個の配列が違うだけで背丈から葉の長さ、種子の形などいろいろな部分が大きく変わってしまうというのは実に不思議です。