みどころ

特別展「人体」は、先人たちの飽くなき探究の歴史と功績、そして最先端の研究という二つの軸を通して、人体研究の今と昔を皆様に紹介します。

こちらのページではそんな本展のみどころを少しだけご紹介。いかに「人体」という永遠の謎がレオナルド・ダ・ヴィンチや現在の最先端の医学研究者たちを虜にしてきたかをお伝えします。最も身近でありながら、最も奥深い、人体の世界をお楽しみください。


ダ・ヴィンチものめりこんだ世界!?

ルネサンスの巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチといえば、「モナ・リザ」などの名画を思い浮かべる方も多いはず。そんなダ・ヴィンチですが、実は人体を描くための理解を求めて人体解剖を行い、多くの人体解剖図を遺したことでも有名です。この解剖手稿からは、彼が自ら人体の構造を説明することにのめりこみ、考えを巡らせた痕跡を見て取ることができます。

レオナルド・ダ・ヴィンチ「解剖手稿」より

レオナルド・ダ・ヴィンチ
【右】「解剖手稿」より頭部断面,脳と眼の結びつき部分
1490-92年頃(イギリス・ウィンザー城王室コレクション)
【左】「解剖手稿」より消化管と腎臓、そして尿管部分
1508年頃(イギリス・ウィンザー城王室コレクション)
Royal Collection Trust/© Her Majesty Queen Elizabeth II 2018

ヴェサリウスの革命的な解剖図譜『ファブリカ』

アンドレアス・ヴェサリウスは、16世紀の医学・解剖学者。現在のように防腐処理のなかった当時、迅速かつ正確に自ら人体解剖を行い、従来の伝統にとらわれず自分の目で観察したままの人体の姿を解剖図譜『ファブリカ』に描き出しました。医学関係者なら知らぬ者はいない革命的な書物の初版本(1543年)を展示します。

アンドレアス・ヴェサリウス『ファブリカ』

アンドレアス・ヴェサリウス『ファブリカ』
1543年 広島経済大学

精巧な復元の姿!ワックスモデル

人体の構造について学ぶには、解剖を通して自分の目で見て学ぶことが不可欠です。しかし、人体解剖は誰しもが容易にできることではありません。

その代わりとして、各地で精巧な人体模型が数多くつくられました。その精密さは、現代に生きる私たちが見ても目を見張るほど。特に18世紀以降ヨーロッパで作製され、博物館や教育機関で用いられたワックスモデルは、詳細な解剖技術と精緻な造形技術がつくり上げた精密な芸術品ともいえるものです。

女性の頭部、胴体の解剖模型

女性の頭部、胴体の解剖模型
1850-1900年 ブールハーフェ博物館
©Rijksmuseum Boerhaave, Leiden V09106

驚異の再現力!キンストレーキ

紙粘土製の人体模型「キンストレーキ」。名前の由来はオランダ語で「人工の死体」を意味する「Kunstlijk」からきています。 高価な蝋製模型の代用としてフランス人解剖学者オヅーが開発したのがはじまり。写真右は、加賀藩の蘭学医がオランダ海軍の軍医から購入したフランス製のものとされています。日本国内に現存するキンストレーキはわずか4体ですがそのうちの2体を本展で展示する予定です。

「キンストレーキ」

【左】「キンストレーキ」(女性)
19世紀 福井市立郷土歴史博物館
※3月13日(火)~5月17日(木)までの期間限定展示
【右】「キンストレーキ」(男性)
19世紀 金沢大学医学部記念館

観察することの進化

顕微鏡の発明はミクロの世界を拡大し、肉眼で見えなかったものを観察·研究することを可能にしました。本展では人体研究の発展に大いに貢献した最初期の顕微鏡を紹介します。

最初期の顕微鏡

【左】レーウェンフックの単式顕微鏡
1673-1723年頃 ブールハーフェ博物館
©Rijksmuseum Boerhaave,Leiden V30337
【右】18世紀の複式顕微鏡
1750-1800年頃 ブールハーフェ博物館
©Rijksmuseum Boerhaave, Leiden V28771

ネットワークシンフォニー

「疲れた、しんどい」「おしっこをしよう」「ごはんが来たぞ!」…私たちの体内でそんな臓器たちの会話が飛び交っていることが、最新研究でわかってきた。さまざまな“メッセージ物質”を各臓器がやりとりしているという、NHKスペシャル「人体 神秘の巨大ネットワーク」で紹介した新・人体観を、色や音で表現する空間。それが「ネットワークシンフォニー」だ。“驚くほど美しく、騒がしい人体”の世界が体感できる。

ネットワークシンフォニー