1801年1月1日、シチリア島パレルモ天文台のピアッツィは、おうし座のなかに新しい惑星を偶然発見しました。シチリア島の女神にちなんでケレスと名づけられたこの惑星の軌道は、火星と木星のあいだに位置していました。この惑星は8等級と暗く、さらに意外なことに、翌1802年にはドイツのオルバースによってまた別の新しい惑星パラスが発見されました。パラスも火星と木星のあいだにある暗い惑星でした。オルバースは、このあたりには大きな惑星のかわりに小さな惑星がたくさんあるのではないかと考えましたが、実際に1804年ジュノ、1807年ベスタと同じような小惑星が次々と発見されました。現在では軌道の確定しているもので4万個を超える小惑星が見つかっています。
小惑星は望遠鏡を使っても点のようにしか見えませんが、観測からその反射能を調べ、それと明るさを比べることによって、直径をわりだすことができます。この方法によると、もっとも大きいケレスでも952km、月の1/4ほどしかないことがわかります。小惑星の大きさを調べるもう一つの方法は、星食の観測です。小惑星が恒星をかくす星食現象の開始時刻と終了時刻を何カ所かで測定すれば、その小惑星の大きさや形を求めることができます。2000年にあった小惑星ペネローペによる星食では、下の図のように80km×59kmの楕円形であることがわかりました。また最近は、惑星探査機やレーダーによって、直接その姿をとらえることも可能になってきています。
小惑星の起源については、火星と木星のあいだをまわっていた惑星がこわれてできたという説がはじめ唱えられていましたが、現在ではこの説はほとんど信じられていません。そもそも小惑星帯のあたりでは、木星の引力の影響で軌道が乱されて、惑星のタマゴが大きな惑星に育つことができないのです。せいぜいできたところで月の大きさ程度で、小惑星は、このような天体どうしが衝突してできたものと考えられています。
小惑星の大きさ
小惑星ペネローペの星食の観測
斜めの線が各観測地点で星が隠された時間に対応する。
十字を中心とした楕円が観測された小惑星。
By courtesy of Dr. David Dunham and Mr. Ben Wun
ガリレオ探査機が撮影した
小惑星ガスプラ
大きさ:19×12×11km
提供: NASA/JPL
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地球接近小惑星トータチスの
レーダー画像
大きさ:4.6×2.4×1.9km
提供: NASA/JPL
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