月や惑星といった天体が星空のあいだを規則的に運動しているのに対して、多くの彗星は突然に現われます。一定の間隔で姿を見せる周期彗星もありますが、毎年見つかる彗星の約半分は初登場のまったく新しく発見された彗星です。新しく発見された彗星には、発見者の名前をつけて「ダレソレ彗星」とよぶことになっています。さて、このように次々と現われる彗星たちは、いったいどこからやってくるのでしょう?
万有引力を発見し惑星の運動を説明したニュートンは、彗星の観測も行っていて、その軌道は放物線と考えられることを示しました。現在では放物線の他に楕円や双曲線の軌道をえがく彗星もあることがわかっています。放物線や双曲線の軌道の彗星は、一度現われたきりで二度ともどってこない彗星です。楕円軌道をえがいている彗星は、規則的に繰り返し現われる周期彗星になります。
1950年オランダの天文学者オールトは、そのような彗星のふるさとが太陽からおよそ1光年、つまりいちばん近い恒星までの距離の1/4にあたるところにあるという考えを示しました。太陽系内の惑星の引力の影響を受ける前の、彗星のもともとの軌道を計算してみると、太陽からもっとも遠いときの距離が、多くの彗星で1光年程度になったからです。この彗星のふるさとは「オールトの雲」とよばれています。ここには周期約数百万年の原始彗星が2000億個ほどあると考えられています。これらの原始彗星は、太陽系が生まれた頃にできた微惑星が、惑星や恒星の引力の影響でこの付近に集まったものであると考えられています。
彗星の軌道
オールトの雲
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