星団の種類には散開星団と球状星団があります。散開星団は数百個ほどの星がまばらに不規則に集まっている星団ですが、球状星団は、その名のとおり星が丸く球状に集まっているもので、星の数も下の写真のように、散開星団と比べるとけた違いに多く、散開星団とはまったく別のものです。中心にいくほど星は集中しており、写真に見えるような明るい星だけで数万個、暗い星や中心部の密集した部分も考えると数十万個は星があると考えられています。
ヘルクレス座の球状星団M13は、北天でもっとも明るい(全天では3番め)球状星団で、空がじゅうぶん暗いところでは肉眼でも見つけることができます。全天でもっとも明るい球状星団はケンタウルス座のオメガ星団ですが、残念ながら南に低く、日本からはあまりよく見えません。
球状星団までの距離は、星団の中にあること座RR型変光星やおとめ座W型変光星を利用して求めることができます。これらの変光星は、明るさの変わる周期がその星の絶対等級と関係があるという特徴をもっています。周期は観測からわかりますから、それからその星の絶対等級を求め、それを見かけの明るさと比べてやれば、その星までの距離、つまりはその星の属する球状星団までの距離がわかるわけです。このようにして求められた距離は、近いものでも数千光年、遠いものでは30万光年以上と非常に大きいものでした。M13までの距離は23100光年、ケンタウルス座オメガ星団までの距離は17300光年です。「すばる」の410光年と比べると、いかに遠いかがよくわかります。
球状星団の年齢は、散開星団と同じように、星団を構成している星の色や明るさの分布を調べることによって求めることができます。観測してみると、質量が大きく寿命の短い青い星は見あたらず、質量が太陽程度かそれ以下の軽くて寿命の長い赤い星や進化の進んだ巨星、超巨星から成り立っていることがわかります。このことは、球状星団の年齢が100億年以上であることを示しています。球状星団は銀河系形成の初期に生まれた古い天体なのです。また、このことから宇宙の年齢が少なくとも100億年以上であることもわかります。
ヘルクレス座の球状星団 M13
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