長方形の中に3つの星が並んでいるオリオン座は、もっとも覚えやすい、そしてもっとも見つけやすい星座の1つではないでしょうか。冬になったら、ぜひ探してみましょう。そして、見つけ出すことができたら、その三つ星のちょっと下(南側)のところを注意してながめてみてください。暗い星が3つ、南北に並んでいるのが見えると思います。これを小三つ星といいます。次に、小三つ星の真ん中の星をさらに注意して見てみてください。光がぼうっと広がって、他の星とは少しようすが違うのがわかるでしょうか。これがオリオン座の大星雲(M42)です。
オリオン座の大星雲のような星雲は、散光星雲とよばれています。散光星雲とは、ガスやチリでできた星間雲が、近くや内部にある高温の明るい星の光を受けて光っているもので、一般に不規則な形をしています。オリオン座の大星雲以外では、いっかくじゅう座のバラ星雲やはくちょう座のペリカン星雲、北アメリカ星雲などが有名な散光星雲ですが、これらの名前は、その形にちなんでつけられたものです。
星間雲は、新しく生まれる星の原料であり、オリオン座の大星雲は、まさに星の誕生する現場となっています。望遠鏡で星雲の中心部を見ると、トラペジウムとよばれる4つの星が光っているのを見ることができますが、これらの星は、この星雲から生まれたばかりの星たちです。また、赤外線による観測から、星雲の中には、まもなく星になる星のタマゴたちがたくさんうもれていることもわかっています。オリオン座の大星雲は、星間雲から星が誕生するまでのすべてを見せてくれる、すばらしい研究材料です。
散光星雲までの距離は、その星雲を光らせている星までの距離を調べれば知ることができます。そして、距離がわかれば、見かけの大きさから実際の大きさを求めることもできます。オリオン座の大星雲は、距離約1400光年で、さしわたしは約25光年となります。また、散光星雲の質量は、このようにして求めた大きさに、星雲のスペクトルから求めた密度をかけてやることによって、見積ることができます。オリオン座の大星雲の質量は、太陽の質量の1万倍程度と考えられています。
オリオン座
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オリオン座の大星雲 M42
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いっかくじゅう座のバラ星雲
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トラペジウム
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