天王星がてんびん座の9等星の前を通過する、星食という現象が見られるという予報を受けて、1977年3月10日、世界各地の天文台が天王星に注目していました。インド洋上空には望遠鏡を搭載したNASAの飛行機、カイパー空中天文台も待機していました。すると驚いたことに、現象予定時刻までまだ35分もあるのに、恒星が不思議なまたたきを示しました。このまたたきは5回観測され、星食が終わった後も逆の順番で繰り返されました。天王星の輪の発見です。
天王星の輪は、その後の観測によって現在13本が確認されています。輪と輪の間隔がだいたい1000km以上あるのに対して、輪の幅は非常に細く、最大の輪でも20〜100kmしかないのが特徴です。また、炭素質隕石のような黒っぽい物質でできていることもわかっています。
天王星の輪が発見された2年後の1979年3月、ボイジャー1号によって今度は木星に輪が発見されました。木星、土星、天王星と輪があることがわかり、残された最後の木星型惑星、海王星にも輪があるのではないかという期待が高まりました。そして天王星の場合と同じように星食を利用した観測が行われ、やはり輪によると思われる恒星の減光が発見されました。ところが、この現象は起こらないときがあったり、星の前後片方でしか起こらなかったりするので、実は輪ではなくて円弧なのではないかという説もとなえられました。その後、1989年になってボイジャー2号が海王星に接近し、4本の輪があることが確認されました。天王星の輪と同様に、幅が狭く黒っぽい物質からできているところも似ていました。濃淡の変化が非常に大きいことも特徴の一つで、このために地上からの観測では円弧状に見えたこともわかりました。
星食による輪の発見
ボイジャー2号の写した天王星の輪
提供:NASA/NSSDC
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ボイジャー2号の写した海王星の輪
提供:NASA/NSSDC
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