水中は陸上とくらべると見通しの悪い世界である.熱帯のサンゴ礁の美しい海でも透明度はふつう30m以下である.したがって,海の中で餌となる生物をさがすためには視覚以外の感覚に頼らなければならない.「におい」をかぎわける能力,すなわち嗅覚は餌をさがす有効な手段である.しかし,魚の中には嗅覚の他に餌をさがす特殊な探索器官をもったものがいる.
写真:ヒメジ Upeneus japonicus ヒメジは海底の砂の部分をおもな生息場所にしている.口の下にある大きな黄色いヒゲを器用に動かして海底の餌をさがし出す.日本の各地に分布しているが,ヒメジの仲間は熱帯に種類が多い.(撮影:平田智法)