世界の「地球を食べる」生物群集

 「地球を食べる」生物群集は,プレートの境界に沿って存在する.最初に発見されたのはガラパゴス沖で,その後太平洋の東側や大西洋の中央部,そして太平洋の西側などから続々と発見されている.日本周辺でも本州中部沖(相模トラフ,駿河トラフ),小笠原諸島海域,四国沖(南海トラフ)や沖縄(沖縄トラフ)などから発見されている.これらの群集は地理的には連続しないにもかかわらず,いずれも類似した分類群の動物で構成されている.しかし,群集を代表する動物は地域によって異なる場合がある.
世界の「地球を食べる」生物群集:赤丸は熱水噴出域に関係するもの,青丸は冷水湧出域に関係するもの.

相模湾
相模湾初島沖,水深1200mの冷水湧出域.シロウリガイ Calyptogena soyoae Okutaniを中心とした生物群集がみられる.シロウリガイ類は場所や深度によって種類が異なり,日本周辺からだけでもこれまで11種類が報告されている.(提供:海洋科学技術センター)


マリアナ背弧海盆
マリアナ背弧海盆,水深1450mの熱水噴出域.太平洋西側のマリアナから北フィジー海盆にかけて点々と連なる熱水域にはアルビンガイやそれに近縁な種類を中心とした群集がみられる.マリアナ背弧海盆は西太平洋で最初に熱水生物群集が発見された.(提供:海洋科学技術センター)


南部東太平洋海膨
 
南緯18゚東太平洋海膨(EPR),水深2600mの熱水噴出域.世界で最初に「地球を食べる」生物群種が発見されたガラパゴス沖の熱水域をはじめとしたアメリカ大陸西岸沖の東太平洋の熱水域を特徴づけるのは巨大なハオリムシ(ガラパゴスハオリムシ)である.チューブの長さは2mにも達し,先端からは赤いビロードのような鰓を出している.(提供:海洋科学技術センター)


大西洋中央海嶺
大西洋中央海嶺の中軸谷の東,水深3600mの熱水マウンド(TAG).マウンドの中央にある黒い煙を噴き出す巨大なチムニーには,おびただしい数の目のないエビの仲間(リミカリス)が群がっている.リミカリスは目はなくとも背中の熱感知センサーでチムニーの場所を知る.(提供:海洋科学技術センター)


| 第八章 | 食べる | 動物 |世界
ご質問、またはコメントやご助言は、hasegawa@kahaku.go.jpまでメールをいただければ幸いです。
このページは、 2000/09/09にアップデートされました。
All Right Reserved Kubodera, 1998